コロナ禍・札幌すすきの・ソープ|これ以上持たない。緊急事態宣言再延長

コロナ自粛はいつまで続くのでしょうか。

5月31日に予定されていた緊急事態宣言解除を待たずに、全国39県で緊急事態が解除されました

東京や大阪は緊急事態宣言は解除されないものの、新たな感染者が減り続け、「コロナもこれで山を越えた」という空気になりつつあります。果たしてそうなのでしょうか?

 

あれほど感染拡大していた、東京や大阪、兵庫で感染拡大が落ち着いている理由は何でしょうか?

それは、緊急事態宣言により、多くの人が出勤しなくなり、通勤電車の満員状態が解消したことが大きいのではないでしょうか。

感染拡大の大きな原因は、満員電車である可能性が否定できません。

 

ソーシャルディスタンスという、今年の流行語に選ばれそうな言葉が何度も聞かれますが、コロナ感染を防ぐには、人との距離を2メートル以上開けなければならないとされています。満員の通勤電車では、ソーシャルディスタンスが守られていません。緊急事態宣言前は、そんな通勤電車にみんなが普通に乗っていたのです。

 

これで感染が拡大しないわけがありません。現在感染者数が落ち着いているのは、満員電車に乗らなくなったことが大きいのは明白です。大阪では独自の基準を設け、それをクリアしたら国の指示とは関係なく、緊急事態を解除すると言っています。

 

どこまで解除するのかわかりませんが、もしコロナの前のように普通に通勤することを認めたら、再び感染拡大するのは目に見えています。もちろん、東京も同じです。東京都知事も、できれば1日も早く緊急事態を解除したいようですが、もし安易に解除したら、これまで自粛してきた努力がすべて水の泡になってしまいます。

 

コロナ自粛が振り出しに戻らないためにも、東京と大阪の知事には冷静な判断を求めたいところです。このような問題は、東京や大阪だけに限ったことではありません。いち早く緊急事態宣言を出した北海道でも、風俗店の休業により「これ以上持たない」という声が出始めています。

 

北海道が抱える窮状

北海道では、独自の緊急事態宣言により、一時は感染拡大を抑え込むのに成功しましたが、すぐに第二波が襲来し再び感染が拡大しています。これまでは、感染拡大を抑えるにはクラスターを発生させなければよいという考えでした。しかし、コロナに感染した人は、陰性になってもまだ体内にウイルスが残っているのではないか、と言う見方が出ています。

 

もしそうなら、クラスターがなくても、いつどこで再感染するかわからないことになります。再感染した人が満員電車に乗ればどうなるか、もう説明の必要はないでしょう。緊急事態宣言は39県で解除されましたが、再び全国的な感染拡大が起これば、再度緊急事態宣言が出されることも十分にあり得ます。

 

相手は姿が見えない

札幌・すすきのにある老舗ソープランドの店員加藤さん(仮名・38歳)は、

「どの店も感染には十分に気をつけていました。でも、相手は姿が見えませんからね」

と、あきらめにも似た表情で話してくれました。加藤さんが勤めていた店は現在休業していますが、緊急事態宣言が解除されても、客足がすぐに戻るかどうかわかりません。また、客足が戻っても、正常に営業再開できるかどうかわからないと言います。

 

「ソープ嬢の中には、札幌にいても仕事はなく家賃がかかるだけなので、実家に帰った人もいる」と加藤さん。すすきので働く女性の中には北海道出身者が多く、同じ北海道内なら移動の制限はないので、実家に帰った人もいるようです。これは風俗嬢に限ったことではなく、風俗店勤務の男性スタッフも同様だと言います。このような状態では、営業を再開しても必要な人員が集まるかどうかわかりません。

 

政府の施策は行き当たりばったり

加藤さんは政府の支援策に不信感をつのらせます。

「政府は急に家賃を補助すると言い出しましたが、家賃は固定費の中の1つです。固定費は他にもあるのになぜ家賃だけなのでしょうか」

 

実は私も同じ疑問を持っていました。固定費とは売り上げに関係なく必ず必要になる費用のことで、家賃のほかに人件費、水道光熱費、リース料、減価償却費などがあります。店の売り上げが激減すると固定費の支払いが困難になりますが、どうしてその中の家賃だけ補助するのかわかりません。

 

おそらくこれは、「店を休業して家賃が払えない」という声があちこちから上がったからでしょう。つまり、炎が燃え上がった場所だけ火消しをしているだけなのです。加藤さんは続けます。

 

「うちの店は、内装をやり替えたばかりなんですよ」

 

店のオーナーが2000万円以上かけて、店を改装した矢先にコロナで休業になったので、家賃以外に改装費用のローンが重くのしかかっていると言います。私は今回のコロナ休業で一番気の毒なのは、ローンを組んで内装や設備を揃え、開店したばかりの店のオーナーではないかと思っています。給付金の話が出ると、政府は「昨年同期に比べて売り上げが半分以上減った店舗」という言い方をします。

 

今年始めたばかりの店舗には昨年の実績はありませんから、給付を受ける資格がないのかとさえ思ってしまいます。

また、開店して間もない店は貯えがありません。長年商売を続けていれば、ある程度の貯えもあるかもしれませんが、開店したばかりの店は赤字を出さないようにするのが精いっぱいです。

 

新たに商売を始める場合、最初の半年間は赤字続きと考えて、半年分の資金と生活費を用意しておくのが基本とされています。つまり、半年のうちに店の営業を軌道に乗せることを目標にするわけですが、その矢先にコロナで休業ではどうにもなりません。

 

加藤さんが勤める店は開店したばかりではないものの、新たにローンを組んで内装を替えた矢先なので、やはりローンの返済が思うようにいかなくなります。

政府は、このような保証はまったく考えていないようです。

 

「これでは持たない店が出てきますよ」

 

インタビューしている間、加藤さんの顔は何度も曇りました。すでにオーナーが夜逃げした店もあるようだと、加藤さんは話します。これから、どこの歓楽街でもそういう店が増えてくるのではないでしょうか。もちろん、歓楽街だけでなく、あらゆる業種が同様の事態になっていくでしょう。

 

「私も実家に帰ろうかと思っています」

 

加藤さんは最後にこう話してくれました。加藤さんの実家は、札幌の近くで農業をやっているそうです。家業を継ぐのが嫌で札幌に出てきた加藤さん。

 

「これを機に、親孝行のつもりで家業を継ぐことを考えます」

 

加藤さんは、店が再開してももう戻らないのかもしれません。