コロナ禍・飛田新地・SMクラブ|4月の給料を払わず夜逃げで風俗嬢の嘆き

4月は、新型コロナウイルス関連の倒産が71件ありました。5月は15日現在で150件を超えていますから、このままでは5月末までに300件を超えると予想されています。

これを多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、今後新型コロナによる倒産が増えるのは確実でしょう。

 

ちなみに、この件数は法的手続きを取って倒産した会社の数です。

夜逃げした店舗や休業したまま再開の見通しが立たない、事実上倒産した店舗は含まれていません。また、個人経営で会社組織になっていない店舗などを合わせると、どれだけの店や会社が事実上倒産したのかわからない状況です。

 

オーナーが給料未払いで夜逃げ

SMクラブに勤めている奈々さん(仮名・29歳)は、経営者が4月の給料を払わずに夜逃げしたと憤慨しています。

「飛田新地でオーナーが夜逃げした店を他にも知っている」と話す奈々さん。コロナ自粛でどこの風俗店も経営難に陥っている状況ですから、オーナーの夜逃げはあちこちで起こっているようです。

 

「3月の後半から店が休業になったので、もともと4月の給料はあまり期待できなかったけど、夜逃げされたらゼロになってしまう」奈々さんの怒りももっともでしょう。

 

「みんな生活があるのに。仕入れ業者だって大変なことになってる」

 

奈々さんと同僚は4月の給料をもらえないばかりか、店自体がなくなったも同然なので勤め先まで失ったことになります。

 

「本当に踏んだり蹴ったりよねえ。コロナがうらめしい」

 

奈々さんはため息をつきました。では、現在どうしているのか聞いてみると、両親の実家に身を寄せているといいます。風俗嬢には家庭の事情が複雑な人が多く、家賃が払えないからといって実家に帰れない人もいるので、奈々さんはラッキーなほうかもしれません。

 

「家に帰れない事情がある人が多いのは知っています。私の店にもそういう人がいました」

 

ただし、奈々さんは実家に帰れると言っても、必ずしも両親との関係が良好なわけではなさそうです。両親は奈々さんの仕事に反対していて、奈々さんいわく「実家に帰っても針のむしろ」状態だそうです。

 

最大の敵は兄嫁

「両親はまだいいんですけど、問題は兄夫婦なんです」

 

奈々さんの実家は兄夫婦が継いでいますが、兄嫁も奈々さんの仕事を知っていて、「蔑んだような目で見られる」のだとか。

 

「でも、家賃も払えない状態では黙って実家にいさせてもらうしかない」と言います。

 

だから、家の掃除から洗濯、料理、洗い物など進んでやっているそうです。それでも兄嫁は知らん顔で、ほとんど口をきいてくれないのだとか。

 

「そんな生活が1カ月以上続いています。世の中はコロナ自粛で限界だけど、私は兄嫁に限界かも」

 

でも、我慢できなくなってブチ切れたら家にいられなくなるので、グッとこらえているそうです。

 

「コロナ自粛より私にはこっちのほうがつらい」

 

奈々さんがポツリと漏らしました。これも、コロナによる被害と言えるのかもしれません。

 

「コロナが終息したら、また風俗に戻りたいですか?」

「それはちょっと微妙ですね」奈々さんが笑います。

 

「実は、あまり風俗が向いてないような気がします」

「それはどうしてですか」

「私が風俗を始めたのは、海外旅行に行くお金が欲しくて、手っ取り早くピンサロで稼ぐことにしたんです」

 

それは、友達から「ピンサロなら稼げる」と聞いたからでした。

 

でも、奈々さんはピンサロがどういうサービスをするのか、知らなかったようです。しかし、もちろん友達は知っていて、ピンサロなら稼げると、冗談のつもりで言ったらしいのです。つまり、友達はまさか奈々さんが、本当にピンサロに行くとは思わなかったわけです。

 

そうとは知らず、友達がすすめるのを真に受けて、ピンサロに行ってしまった奈々さん。面接のあと、簡単な説明を受けて「今日から働けますか」と聞かれて「はい」と返事してしまったそうです。その日は忙しくて、1日で2万円近いお金になり、「こんなに稼げるなら」と、ピンサロを続けることにしたそうです。

 

しかし、続けているうちに体がきつくなってきて、あまりサービスする必要のないオナクラや、SMクラブに変えていきます。

 

「現在のSMクラブは、オーナーがすごくいい人だからずっと勤めたかったんですけど」奈々さんが言葉を濁します。

 

奈々さんは信頼していたオーナーに、給料未払いで夜逃げされてしまったのがショックだったようです。もちろん、悪いのはコロナなのですが、オーナーを尊敬していただけに、「どうして?」という思いがあるのでしょう。土壇場に立ったときに、人は本性が出るといいます。

 

ソーシャルディスタンスの重要性

オーナーも好きで夜逃げしたわけではありませんが、残された人はたまったものではありません。政府の支援が遅いと、日本中でこういった悲劇が繰り返されることになります。10万円支給でも何でもいいので、とにかく何らかの手を差しのべてもらいたいものです。

 

アメリカやヨーロッパの国ではロックダウンを敢行しました。そして、それなりにコロナ封じ込めの効果を上げています。ロックダウンすると国民の生活を大幅に制限してしまいますが、国がそれなりに保証してくれるので国民は納得して従います。

 

アメリカの場合、国と州から国民1人当たり月に40万円近いお金が支給されています。海外では、これだけ手厚く国民を保護してくれるのです。それに比べて日本はどうでしょうか。

 

わずか10万円の給付さえ、話が出ただけで何にも支給されていません。同じ先進国なのに、どうしてこんなに差があるのか不思議でなりませんが、こうした緊急時になると、その国の政治家の実力がわかるものですね。日本の総理の統率力のなさは、閣僚がアベノマスクをしていないことを見ればわかります。

 

総理が肝煎りで全国民に配ったマスクを、総理直近の閣僚がつけないのでは総理に恥をかかせることになります。それでも閣僚はアベノマスクをつけないのですから、表面上は総理に従っていても、裏では見限っているのではないでしょうか。そんな総理が国の舵取りをしているのでは、奈々さんの店のオーナーのように夜逃げしたり、もっと追い詰められる人が続出するような気がしてなりません。

 

総理も都知事も大阪府知事も、口では「気を緩めないように」と言いながら、経済のことを考えて、一刻も早く緊急事態宣言を解除したがっているように感じます。確かに経済の回復も重要ですが、ここで緊急事態宣言を解除して、コロナ以前のようにみんなが満員電車で通勤するようになるとどうなるのか?

 

「隣の人と2メートルの間隔をあける、ソーシャルディスタンスを守らないと感染する」これがコロナ感染を抑止するためには重要です。そうなると、通勤電車などもってのほかということになりますが、それがわかっているのか聞いてみたいものです。